宮尾登美子「松風の家」
194~5番 ☆☆☆☆
宮尾作品(小説限定)で唯一未読だったもの。図書館にたのんだら、買ってくれました。
舞台は茶道の家元、時代は明治から。主人公由良子は、祖母からこの家のこと、千利休の時代から話して聞かせるのでした。繁栄は過去の栄光・・・ 今は窮乏しています。でも気高さを失わない一族の愛憎。
由良子には出生の秘密があるのですが、「観音さま」のような存在であります。
この巻では、若い家元の結婚、その後の姑とヨメの葛藤にひきつけられました。嫁があまりのいじめに自分を見失っていく様子、淡々と書かれていますが、よかったです。下巻も楽しみ。
家元一家に流れる年月。時代は流れ、十三代家元の努力で一家に光が当たりだす。
十四代家元は仙台出身の娘と結婚することとなり・・・
この娘紗代子がいいですね~~~ かなわぬ恋があったり、養母(伯母)との葛藤があったり・・ 私自身、宮城在住なので、彼女のお国言葉は自然にはいってきました。
また上巻で「ヨメイビリ」にあった益子・・自分が姑になった途端、「ヨメイビリ」を開始\(◎o◎)/! 女の一番嫌なタイプでした。嫌なやつですが、宮尾先生はどの登場人物も気高く描写していくのでした。
わった > 宮尾先生の小説を完全制覇ですね。素晴らしい!!! 茶道の家元とはこりゃまた興味深い。お稽古復活をもくろみつつも現在に至る私としては、浸ってみたい作品です。 「仁淀川」読んでます。さくさくです。 (2007/07/15 15:21) |
ほっそ > わったさん、レスありがとうございます♪ 長いことこの作品未読でしたけど、宮城在住としてははずしてはならない作品です。(以前先生の展覧会があったとき、この作品の関連資料が展示してあったけど、さらっとながしてしまったこと・・・後悔してます(T_T)/~~~) 茶道の経験があるのなら、なおさらお勧めです。 (2007/07/17 09:43) |
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» 松風の家(宮尾登美子) [ひろの東本西走!?]
松風の家(文春文庫)★★★★☆’:85点 最近、宮尾登美子さんの小説をよく読んでおり(「天璋院篤姫」「序の舞」「蔵」「天涯の花」「きのね」など。感想を書けていないものも多いのですけれど・・・)、その素... [続きを読む]
こんばんは。
コメントありがとうございました。
※以下、コメントへのレスとほぼ同じですが、ご了承ください。
宮尾登美子作品の素晴らしさは最初にほっそさんに教えて頂いたので、いつも参考にさせて頂いております。感謝、感謝!
私が読んだのはまだ一部の作品なのですが、その中では「序の舞」「蔵」「きのね」「松風の家」をほぼ同格のベスト4としています。茶道のことは全く分かりませんが、「松風の家」もとても良いと思いました。人物がきちんと丁寧に描かれていることが素晴らしいです。
「天涯の花」はかなり雰囲気が異なりますね。別系統の作品なのでしょうか。これも美しく静かで素晴らしかったのですが、私にはちょっと評価が難しいです。
私は大阪弁のネイティブです。感想で引用した辰寿の言葉を大阪弁にしてみますと、
「人の心をつかむには一に言葉、二に金や。・・・あんたがうちの言葉をきちんと実行したら、年月が経って後之伴家は興隆すること間違いなしや。またきっとそうせんとあかん。それはやなあ、紗代、お前を拒んだ一之橋家への意地もあるからやで」
といった感じになるでしょうか。やっぱり仙台弁の方が味わいがありそうですね(笑)。
投稿: ひろ009 | 2009年10月 9日 (金) 23時17分
ありがとうございます。ひろ009さんは、「ひとつの道を究める」というテーマがお気に入りのようですね。
宮尾先生の作品は、それほど多くないので、(作家としてのスタートも遅かったことが一因)全作読破も近いのではと、想像しています。またいらしてください。
投稿: ほっそ | 2009年10月11日 (日) 13時26分