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浅田次郎「終わらざる夏」

765~6番 ★★★★

内容紹介

1945年8月15日――戦争が、始まる。

稀代のストーリーテラーが挑んだ物語の舞台は、玉音放送後に北の孤島・占守島で起きた「知られざる戦い」。日本を揺るがす新たな戦争巨編、ここに誕生!!


「占守=美しい島」で起こった悲惨な戦いを通じ、戦争の真の恐ろしさ、生きることの素晴らしさをうったえる感動巨編。
終戦65周年の夏、誰も読んだことのない、新たな戦争文学が誕生します。

西洋文化あふれる華やかな東京の翻訳出版社に勤める片岡は、いずれ妻とひとり息子とともにアメリカへ移住するのが夢だった。しかし、第2次大戦開戦により息子・譲を疎開し、片岡は妻・久子と東京に残ることに。理不尽な言論統制下で、いつかは人間本来の生の美しさを描いたヘンリー・ミラーの『セクサス』を翻訳出版するのだと強い信念を抱いていた。

そんな彼に、赤紙が届く。陸海軍の精鋭部隊が残留している北海道北部の占守島に米軍上陸の危機が噂されるなか、大本営の作戦本部は、敗戦を予見していた。そこで、米軍との和平交渉の通訳要員として、秘密裏に片岡を占守に運ぶ作戦が立てられたのだ。粉飾のため、2人の「特業」要員も召集された。地元・盛岡の貧しい人々のため働いてきた志高き医学生の菊池、熱河作戦と北支戦線の軍神と崇められた車両運転要員の鬼熊である。

上巻では、3人の占守島への旅を軸に、焼け野原の東京、譲の疎開先、鬼熊らの地元・盛岡の農村など、様々な場所でのそれぞれの「戦争」を、多視点で重層的に描いていく。

以下下巻の紹介

千島列島の孤島・占守島は、短い夏を迎えていた。女子挺身隊として占守島の缶詰工場で働く女子高生たちは、函館に帰る日を待ち望みながら日々を過ごしている。一方、片岡、菊池、鬼熊らも難儀したすえに占守島に到着。そこで3人は、日本が和平に向かっていることを大本営参謀から教えられる。片岡は妻に宛てた手紙で、戦争の真の恐ろしさについて語り、和平を成功させ、平和な世で『セクサス』を出版する決意を綴る。しかし、占守に侵攻しつつあるのは米軍ではなく、ソ連軍であった……。

同じ頃、父の徴兵を知らされた譲は、疎開先の少女とともに、宿舎を脱走し東京を目指す。途中、空腹と疲労で極限状態の2人の前に現れた金髪碧眼の少年はパンを恵んでくれた。その少年は、占守へ侵攻中のソ連兵の昔の姿であった。

人間本来の温かな交流を織り交ぜつつ、物語は玉音放送を迎える。しかし、その翌日、占守にソ連軍が侵攻。凄惨な戦闘となる。せめて缶詰工場の女子高生たちは無事に北海道本島へ送還しようと、中尉たちは決起し……。

日ソ双方に多くの犠牲者を出し、占守島の戦いはついに収束する。残った日本兵はシベリアに連行された。肉体的にも精神的に厳しい生活に、菊池は生きる望みを失いかけるが……。

長い長い物語でした。旧ソ連とは、結局「平和条約」を結ばなかった現実を、改めて思うのでした。

これから読む方へ・・・可能なら、上下巻まとめて読み始めてほしいです。上巻だけの場合、千島列島の地図は、必須アイテムと思います。

登場人物も多く、舞台も占守島(シュムシュトウ)、東京、盛岡、ロシア、信州など、盛りだくさん。例のあのシリーズを思い浮かべます。

読みごたえは抜群。特に8月15日からの記述には、感動しました。誇り高い日本人の姿を見ました。終章には、思わず涙しました。長く苦しい物語で、「史実」かどうか気になりましたけど、読了まで、ウイキペディアでの検索は我慢しました。

「二度と戦争はするな。戦争に勝ちも負けもあるものか。戦争する奴はみんな負けだ」立場の全く違う登場人物二人に、このセリフ言わせてます。作者の強いメッセージ感じました。

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コメント

長い物語読了、お疲れ様でした。
第二次世界大戦以前を舞台にした作品を読むと、日本人の誇り高さは本当にまぶしいです。
そしてあらためて、現在のロシアとの関係を思ってしまいますね・・・。

正直、これだけの登場人物を描くなら、もっと長い物語になってもいいと思いました。
それほど、膨大な・・・けれど、無駄に長い感じのしない、壮大な物語になっていたと思います。

あの翻訳を読みながら、「平和」というものについて、しみじみと考えさせられました。

盛岡出身の人たちが主人公なんだ?そう思って、借りた本です。
(宮古出身の兵隊がいい男に描かれていて嬉しかった♪)
読み終わって、戦争の悲惨さが今までよりも感じられました。
戦争って、戦った人、大事な人を亡くした人が苦しむだけじゃなく、そのとき生きていたすべての人が苦しむんですね。。。
職業軍人も登場しますが、「戦争至上主義」の人が登場しなかったことが救いでした。

ありがとうございます。
ともさん、年末年始でまとまった時間がとれず、ゆっくり読んだのが、よかったと思いました。
でも、苦しい物語、時間があったとしても、一気に読むには辛すぎるものがあります。

まゆさん、トラックバックもありがとう。
リアリティを追及する作家さんと思ってたので、ファンタジー風の場面には、正直驚きました。終章からの流れには、脱帽でした。そう来るかって・・・

kanakanaさん、軍人たちが妙に冷静なのに、当初違和感がありました。私たち、妙に刷り込まれているのかもしれません。あの当時の方、すべてそうだったと思い込んでいたのですね。
別に鎖国していたわけではないのですから、冷静に考えていた方もいて、当然でした。

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