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私が読んだ本(おすすめ)

平野啓一郎「マチネの終わりに」

☆☆☆☆


内容紹介

天才ギタリストの蒔野(38)と通信社記者の洋子(40)。
深く愛し合いながら一緒になることが許されない二人が、再び巡り逢う日はやってくるのか――。

出会った瞬間から強く惹かれ合った蒔野と洋子。しかし、洋子には婚約者がいた。
スランプに陥りもがく蒔野。人知れず体の不調に苦しむ洋子。
やがて、蒔野と洋子の間にすれ違いが生じ、ついに二人の関係は途絶えてしまうが……。


アメトーークで、若林君と又吉先生がおすすめしてい本。番組の効果でなんと図書館予約殺到でした。


もう少し若いときに読んだのなら違った感想なんでしょうが、私としてはうなってしまった。

以下内容に触れます。

無意識のうちに悲鳴あげてしまったのは、ラスト。

まさかまさかの再会のシーン。ここで終わらせる?と悲鳴。

途中早苗が携帯を細工して、結局水没させるところも、悲鳴でした。早苗の行動が、一番私としては共感してしまった。

いろいろ個人的には腑に落ちないところもあるけど、実際の海外の出来事も絡ませての物語の展開は、さすがというほかありません。

おすすめしてた又吉先生も若林君も独身なのは、偶然でしょうか。

乃南アサ「水曜日の凱歌」

☆☆☆☆☆

内容紹介

昭和二十年八月十五日、男たちは戦争に敗れた。今度は女たちの戦が始まる! 敗戦国日本は、男を戦地に駆り出す代わりに、女たちを進駐軍に〈防波堤〉として差し出した――。十四歳の鈴子は、RAA(特殊慰安施設協会)の誕生に立ち会う運命となり、自分の母親を含む、さまざまな階層の女たちの変化と赤裸々な魂を見つめていく……。国家、女と男、アメリカ、自由、そして現在までを問う現代史秘譚刊行。


大みそかから読み始めて、元旦の夜もう止まらず、一気読みした。

心揺さぶられた内容でした。映像化しにくい素材なんで、ぜひ一読をお勧めします。

本書の感想は、性別、年齢、ご本人の戦争体験、または身近な人に戦争体験者がいるのか、(その内容もふくむ) また戦争体験をどういう風に聞いているのかによって、かなり左右されると思います。

たとえ短い間としても、RAAというものがあったということ。(読後、ウィキペデアで見て・・・愕然。実在の施設の名前も出てきています) 歴史の教科書にも載らないこのこと、どう解釈したらいいんでしょうか。ウィキペデアには、女性兵士相手の・・・なんてあったもんですから、頭がクラクラしました。

子供の鈴子からの視点なんで、生々しい描写も少なめですが、女のたくましさは充分に伝わってきますね。

個人的には、鈴子の幼馴染の勝子一家の動向が、最後あっさりだったので、気になって仕方がありません。

ダヴィド・ラーゲルクランツ「ミレニアム4」

☆☆☆☆☆


内容(「BOOK」データベースより)

雑誌『ミレニアム』を発行するミカエルたちの会社は経営危機に陥り、株式の30パーセントを大手メディア企業のセルネル社に売り渡していた。ミカエルにも優れた記事がなく、時代遅れの記者との非難にさらされていた。そんな彼のもとに、ある男から大スクープになるという情報が持ち込まれる。人工知能研究の世界的権威であるバルデル教授が何か大きな問題を抱えているようなので、会ってほしいというのだ。男の話からリスベットが関係していると確信したミカエルは、彼女に連絡を取ろうと試みる。一方、アメリカのNSA(国家安全保障局)は、産業スパイ活動を行なう犯罪組織の関連会社からバルデルが革命的な研究成果を持ち出したため、彼の身に危険が迫っているとの情報を得る。折しも、鉄壁の防御を誇るNSAのネットワークに何者かが侵入した!


NSAのネットワークに侵入したのはリスベットだった。彼女はある目的のため、この犯罪組織を追っていたのだ。犯罪組織のリーダーはサノスと呼ばれていた。一方ミカエルは、セルネル社が『ミレニアム』編集部から彼を追い出そうとしていることを知るが、さらに衝撃の事件が発生する。万全の警備システムを設置し、自閉症の息子と暮らすバルデルの家が襲撃されたのだ。警察の捜査が開始され、リスベットと連絡を取ることに成功していたミカエルも独自に調査に乗り出す。だが、今度はバルデルの息子に魔の手が伸びてきた。全力で息子を護るミカエルとリスベット。やがて一連の事件の背後に、リスベットの知られざる過去が大きく関わっていることが明らかになる。そして、リスベットに犯罪組織の暗殺者たちが、さらにはNSAの追っ手が迫る!

まさかこういう形で読めることに、驚きました。最初に思ったのは、児玉清さんに読ませたかったなあってこと。児玉さんがこの本を評して、「100回面白いといっても、足りない」と、テレビで発言されました。 児玉さんが読んだら、どんな感想を語ってくれただろうかと思いました。

さて本題。

コンピューターのことは、わっぱりわからず、数学はそれ以上に苦手なんで、謎の核心部分については、理解できなかったです。正直なところ。

でも、この本ではあのリスベットの双子の妹、カミラのことが明らかになっていきます。これがもう興奮しましたね。リスベットも品行方正ではないけど、カミラはリスベットとは全く違う意味で「ワル」です。(無意識のうちに、カミラという名前に反応を示したかも) もちろん語り部は、リスベットの信頼の厚いパルムグエン弁護士。

バルデルの息子、アウグストに対して、リスベットがとる言動に、彼女の成長を感じました。編集部のアンドレイが、身分を隠したカミラに,誘惑されて、命を落とす展開には、心乱れました。

映像化前提でないと、アウグストの描写力などどうにも理解できない・・・悲鳴に近いです。また続きがあるんでしょうけど、また1巻から読もうかな。キンドルにあるかな。ぼやきも出ました。

薬丸岳「Aではない君と」

☆☆☆☆☆

内容紹介

殺人者は極刑に処すべきだ。親は子の罪の責任を負うべきだ。周囲は変調に気づくべきだ。自分の子供が人を殺してしまってもそう言えるのだろうか。読み進めるのが怖い。だけど読まずにはいられない。この小説が現実になる前に読んでほしい。デビューから10年間、少年事件を描き続けてきた薬丸岳があなたの代わりに悩み、苦しみ、書いた。この小説が、答えだ。

正直打ちのめされてしまった。

あまりの衝撃で、読む手が何度も止まり、小休止をはさみながらの読書だった。ノンフィクションとも思わせる内容ですが、小説でないと逆にかけないものもあります。

以下内容に触れます。

「心と人とどちらが大切か」という重い課題がありました。
いわゆる加害者とされる青葉翼の追い込まれていく状況は、本当に切ないものがありました。逆に被害者とされる藤井優斗も、死んだあと家族が知る事実にも重いものがありました。


自分が女のせいか、翼の母親の態度に関しては、どうも理解不能。吉永が優等生な気がしました。

母親がアパートに住めなくなり、夜逃げのような引っ越し。マスコミに取り囲まれた吉永が、会社の人たちから、はれ物に触れるような対応されたり、恋人との破局。それぞれの実家の様子など、リアリティありすぎて、本当にへこみました。ラストもかすかな希望だけで、苦しい読書になりました。

帚木 蓬生「悲素」

☆☆☆☆☆

内容紹介

タリウム、サリン、そして砒素――。「毒」はなぜ、人の心を闇の世界に引きずり込むのか? 悲劇は、夏祭りから始まった――。多くの犠牲者を出した砒素中毒事件。地元の刑事の要請を受け、ひとりの医師が、九州からその地へと向かった。医師と刑事は地を這うように、真実へと近づいていくが――。「毒」とは何か、「罪」とは何か。現役医師の著者が、実在の事件を題材に描いた「怒り」と「鎮魂」の医学ミステリー。


本読み仲間のときわさんのおすすめ。彼女の読む本(特にノンフィクション関連)は、とても素晴らしい。
年末のお勧めにあったので、手に取りましたけど、分厚い・・・読み始めて、理系の記述が多くて、読み切れるか心配でしたが、結局魂揺さぶられる作品となりました。

一応フィクションの形をとっていますが、中身は限りなくノンフィクション。

さらに毒物を使った犯罪の歴史、文学作品に登場する毒物など、読み物としても幅広いものになっていました。

警察ではなく、医者、学者として事実を見つけていく様子は、感動がありました。私自身は、動機があいまいなカレー事件より(本人の供述がないのだから、仕方ない) その前の保険金がらみの事件に、驚いた。特に夫に関連して、高度障害のふりをさせたのには、だまされるドクターが気の毒でならない。

たとえ助かったとしても、長年後遺症に悩まされるという初めて知る事実も多かったです。たくさんの方に読んでいただきたいと思います。

彼女が、生保の仕事をしていたことに今更ながら驚きました。あの厳しい世界で、務まったんだろうか・・・

加納朋子「トオリヌケ キンシ」

☆☆☆☆☆


内容紹介

人生の途中、はからずも厄介ごとを抱えることになった人々。でも、「たとえ行き止まりの袋小路に見えたとしても。根気よく探せば、どこかへ抜け道があったりする。」(「トオリヌケ キンシ」より)他人にはなかなかわかってもらえない困難に直面した人々にも、思いもよらぬ奇跡が起きる時がある――。短編の名手・加納朋子が贈る六つの物語。

病名で言ってしまえば、そういうものだろうけど、その当事者には表現するには難しいものがある。

この中で一番好きなのは、「フー・アー・ユー」

人の顔が区別できない僕の恋物語。この状態で思春期を乗り越えるのには、人の数倍パワーが必要でしょう。

また、大病したからこそかけたと思える作品に涙しました。未読の方、ぜひどうぞ。

野上孝子「山崎豊子先生の素顔」

☆☆☆☆



内容紹介

『白い巨塔』『華麗なる一族』『大地の子』『沈まぬ太陽』『運命の人』……。現代のタブーに迫り、戦争と平和を問い続けた国民的作家・山崎豊子。
その素顔と創作の現場を、52年間支えた秘書が明かす。

「秘書、求む」の張り紙を見て訪れた先は、「あんさん、二、三年持ったらええほうでっせ」と怖れられる女性作家の家――。それが、山崎豊子という渦潮に巻き込まれる歳月の始まりだった。
「意見なき者は去れ」が信条の作家は、新人秘書にも絶えず感想を求め、小説をめぐって熱いバトルが続く。「小説はテーマで50点」などの小説作法から取材秘話まで。


ずっと気になってた方。山崎豊子さんの本のあとがきに,必ず名前が載っていました。未読の作品が,まだあるので来年読みたいと思いました。


特に、「大地の子」に関して、大変な取材だったこと、改めて感じました。また、先生の原稿の清書をしていたとは、素晴らしい!編集者より先に読めるなんて、想像しただけで幸福感があふれてきます。

「華麗なる一族」と「不毛地帯」・・・来年読む!

百田尚樹「海賊とよばれた男」

☆☆☆☆

あらすじ・内容
忘却の堆積に埋もれていた驚愕の史実に当代一のストーリーテラーが命を吹き込んだ。

1945年8月15日、異端の石油会社『国岡商店』を率いる国岡鐵造は、海外資産はもちろんなにもかもを失い、残ったのは借金のみ。そのうえ石油会社大手から排斥され売る油もない。しかし『国岡商店』は、社員ひとりたりと馘首せず、旧海軍の残油集めなどで糊口をしのぎながらも、たくましく再生していく。
20世紀の産業を興し、国を誤らせ、人を狂わせ、戦争の火種となった巨大エネルギー・石油。その石油を武器に変えて世界と闘った男とは何者なのか――実在の人物をモデルにした、百田尚樹作品初の本格ノンフィクションノベル!
あらすじ・内容
この男の戦いは0から始まった――
敵は七人の魔女、待ち構えるのは英国海軍。敗戦後、日本の石油エネルギーを牛耳ったのは、巨大国際石油資本・メジャーたちだった。日系石油会社はつぎつぎとメジャーに蹂躙される。一方、世界一の埋蔵量を誇る油田をメジャーのひとつアングロ・イラニアン社(現BP)に支配されていたイランは、国有化を宣言したため、国際的に孤立し、経済封鎖で追いつめられる。英国海軍が警戒する海を、一隻の日本のタンカーがイランに向けて航行していた――。
「日章丸事件」に材をとった、圧倒的感動の歴史経済小説、ここに完結。

以前から話題の本、予約せず読めるようになりました。

一応名前は変えていますが、山崎豊子さん的手法で,事実に基づいて小説になっています。


初めて知ることばかりで、目からうろこが落ちるようでした。何気なく子供のころから見ていた,ガソリンスタンドのマークには、そういう意味があったのね・・・ イランと日本の間にそういうことがあったんだ。

最初の奥さんが、子供がいないことで,自ら離婚を願う場面には、涙しました。最後にその後の彼女のこと,触れていただいて、ありがとうございます。

映画になるそうですね。

熊谷達也「潮の音、空の青、海の詩」

☆☆☆☆☆

内容紹介


仙台市内で被災した予備校講師・聡太が、避難所での友人との再会や、日常の復活の中で被災の深刻さを実感していく過程などを描く現在――。転じて60年後、再度の大津波に見舞われた仙河海市を舞台に、防潮堤や放射能廃棄物の受け入れなどを描く未来――。現在と未来の視点を交錯させながら、復興に生きる人々を迫真の筆致で描く物語。地方紙連載中から評判を呼んだ小説の単行本化。


過去,新聞や雑誌の連載時から読み、思い出深い作品があります。この本もそうなると確信しました。ただし、私はこの本を冷静に判断することはできません。

「黒い雨」を読み、原爆のことを知ったように、将来的にはこの本で東日本大震災を知ってほしいと思います。

連載時、特に「潮の音」の描写が,心理的にきつすぎました。私自身、石巻で被災したもので、その当時のことがフラッシュバックしてきます。

また「空の青」で、2020年の東京オリンピックのあと数年で、また津波被害があった。核廃棄物の最終処分場が、仙河海にできるなと、目の前が暗くなるようなことばかりだった。現に宮城県では、原発事故の廃棄物の最終処分場のことで大変なことになっているので、どうも単なる未来の話と思えなかった。

聡太がそのあとどんな一生を歩むか,断片的にしか伝わってこないのが,もどかしい思いでした。いい本に出会えてよかったです。

遠藤誉「チャーズ中国建国の残火」

内容(「BOOK」データベースより)

激しい内戦によって誕生した中国。1947年、中国共産党軍は国民党軍が占拠する長春を食糧封鎖。30万人の民衆を餓死に追い込んだ。7歳の筆者が見たものは?極限状態を生きぬいた日本人少女、魂の実録。

「大地の子」の参考書籍のなかの一冊。 満州からの引き上げ体験の話は、かなり読んだほうですが、父親の事情とはいえ、その後の中国で暮らした日本人の体験記は、あまり読んだことないように思います。


正直とんでもない本を読んでしまったというのが、正直な感想です。

あの時代、大変な思いをしなかった人たちはいなかったと思いますが、とにかくすごい内容でした。立ち位置として、ずっと微妙だったのは、作者の言葉からわかるように「日本人と言われ、いじめられ。帰国したら○○と言われ差別された」と。

大変な中、父親の情愛、それと対比して白ねずみと称される,世渡り上手な親類。いつの世もこういうことなんだ・・・

「大地の子」「ワイルドスワン」など読んだ方、ぜひおすすめします。


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